「いいとも、ごらんのとおり貧しい暮らしだが、
どうぞ、ゆっくりしていってください。」
と言いました。
ただのおばあさんになった魔法使いは、日に日に衰えていきました。
イリアラーサもヨーンもむすめのマリアレーサも、
そんな魔法使いを、まるで本当のおばあさんのように思って、
やさしく面倒をみました。
イリアラーサは、昔と同じように、やぎの乳を搾りヨーグルトを作って
毎日魔法使いに飲ませてあげました。
ちょうどその頃、町では王様が倒れ大騒ぎになっていました。
ウエンとクワンは、すでにつぎつぎに病気でなくなっていました。
あと取の王子がいないので、
王様は、心やさしく、勇気のある、かしこい男を、
国中から集めてくるよう言いました。
王様の使いが、ヨーンのところにも来ましたが、
ヨーンの顔を見るとこう言いました。、
「いくらおまえが心やさしく、勇気のある、賢い男だったとしても、
その顔では来るだけむだだろう。」
ヨーンは、いまさら自分が王のあと取になりたいなどとは、
思いもしませんでしたが、
父親である王様に
死ぬ前にひと目合いたいという気持ちを抑えられませんでした。
イリアラーサは、そんなヨーンの気持ちをすぐにわかって、いいました。
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