魔法使いのヤギ 10
まえつぎ

 やぎのヨーグルトを持ってお行きなさい。
ミミルークレアのほんの一さじの魔法のヨーグルトを、
切らさずに受け継いだヨーグルトです。
王様に、いえ、おとうさまに差し上げていらっしゃいな。」

ヨーンは、すぐにヨーグルトを持って出かけることにしました。
魔法使いは、今はもう寝たっきりでしたが、
この話をみんな聞いていました。

ヨーンが出かけると、魔法使いは、イリアラーサを呼びました。
「私に毎日飲ませてくれたヨーグルトに
魔法の力のかけらがあるのを知っていたよ。
体が動かなくなっても、
私の魔法が最後の力を出せるように蓄えていたんだ。
どうやら、そのときが来たようだね。
私にもう一杯、ヨーグルトをくれないかい!
すこしでも魔法の力が強くなるようにね。
それからマリアレーサをよこしておくれ。」

イリアラーサは、今では魔法使いをすこしも憎んではおらず、
もし最後に魔法が使えたとしても、
自分たちに何かひどいことをするとは思えませんでした。

「おばあちゃん、はい、ヨーグルトよ。」
マリアレーサがヨーグルトをもってやってきました。

まえつぎ

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