魔法使いのヤギ 5
まえつぎ

「あなたが、捕まえようとしたそのやぎが、わたしにあなたの事を教えました。
あなたに、再び生きる力を与えたのも、
やぎの乳から作ったヨーグルトの力です。」
イリアラーサは、続けました。
「けれど、ここから先には、誰も進むことはできません。
たとえ一年かけても、魔法使いの家や、ミミルークレヤの好きな岩場には、
いかれないよう魔法がかけてあります。」
ヨーンは二人の兄さんも途中で倒れているかもしれないと、
イリアラーサに話しました。
すると、ミミルークレヤが緑色の目をかなたへむけ、
片方の前足で、コツコツと地面をたたきました。
イリアラーサはいいました。
「二人の兄さんの王子は、もう城へ帰ったそうです。
王様には、あなたも魔法のやぎも死んだといったそうです。」
ヨーンは二人の兄さんが、自分を見捨てたことに、腹も立てず、
「そうですか、それはよかった。」といいました。

突然ミミルークレヤが激しく首を縦に振りました。
魔法使いが帰ってきたのです。
イリアラーサは、走って魔法使いの家に帰りましたが、
途中の沢でじぶんの洋服に水をかけていきました。
「ミミルークレヤの姿も見えなかったが、いったいどこへいっていたのだね?」
魔法使いが聞きました。

まえつぎ

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