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なつやすみ

夏休みになるとクルミは一日中はなといっしょでした。本を読むときもはなといっしょです。学校でならった歌をうたったり、ハーモニカをふいたり、絵をかいたりするクルミのそばで、はなはのんきに草を食べました。
 畑のとうさんにおべんとうをとどけるときも、はなをつれていきました。でもそんな時、はながみちくさをくってばかりいるので、とうさんはきまってはらぺこでまっていました。はなが立ち止まると、「おいしそう!」といって、クルミも立ち止まるのです。
 けれど、きんぽうげやたけにくさのあるところでは、はなのおしりをたたいて歩きました。
 毒の草を食べてやぎが死んでしまったはなしを、ばあちゃんから聞いていたからです。配合や畑で取れる野菜ばかりあげて、やぎを死なせてしまった人がいた話も聞きました。つないでいるひもが足や首にからまって、土手で中ずりになって死んでしまったやぎの話を聞いたときは、クルミはおそろしくて泣きたくなりました。
 だからクルミはできるだけはなのそばにいました。
 おかげで夏休みの間、はなはほとんどつながれることがなく、自由にとびまわったり、草を食べたりすることができたのでした。

くさあつめ
 秋が近づいたら、たくさんたくさん草を集めてほして、納屋をいっぱいにしなくてはなりません。まだ青々としたおいしい草のあるうちに、冬の間中やぎが食べる草をあつめるのは大変です。
 「いいかおりのするほし草をたんと用意できたら、一人前のやぎかいだよ。」 と、ばあちゃんは言っていました。
 秋の終わりには、な屋がほし草でいっぱいになりました。 大きな葉っぱの「くず」をつるのままぐるぐるとからげたもの、クワの葉をほして大きなふくろにいれたもの。
 「冬が長いからね。」
 かあさんは、サツマイモやだいこんやにんじんの葉もほしました。だいずやあずきをとった後の豆がらも、たばにしてな屋につみました。
 山が赤やき色にそまって、木の葉がはらはらとちるころになると、クルミは草をかるかわりに、落ち葉をひろいに行きました。かきや、さくらや、きりや、くわや…、おちたばかりの葉っぱを、はなはよろこんでんで食べました。
くるみのこやぎ 4