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									 むかし、ある山奥に一人の魔法使いが住んでいました。  
										その魔法使いは、一頭の魔法のヤギを飼っていました。 
										 
										魔法のヤギの名前はミミルークレヤといいました。 
										ミミルークレヤは、真っ白で、 
										すきとおった緑色の目と金色にかがやく二本の角を持っていました。 
										ミミルークレヤは毎日すこしの魔法の乳を出しました。 
										 
										魔法使いは、その魔法の乳を 
										とろっとしたやわらかなヨーグルトにして毎日飲んでいました。 
										魔法使いがいったい何歳になるのか誰も知りません。 
										ミミルークレヤの出す魔法の乳は、どんな病気も直してしまうし、 
										魔法の乳を飲んでいると年をとらなかったのです。 
										しかも魔法の乳はヨーグルトになると、その魔法の力が何倍にもなりました。 
										 
										あるとき、その国の王様と3にんの王子が、魔法使いの住む山にやってきました。 
										ミミルークレヤは高いがけの上から、 
										馬に乗って山を登ってくる四人を見下ろしていました。 
										「あれをみろ!」 
										王様が言いました。 
										「この山に魔法使いが住み、 
										どんな病気も治してしまう魔法の乳を出すヤギを飼っていると伝え聞いたが、 
																				あれこそが、そのヤギに違いない。 
										むすこたちよ、あのやぎを、しとめてまいれ。 
										三人で、知恵を出し合い、助け合うのだ。 
										けっしてヤギを、殺したり傷つけたりしてはならんぞ。」 
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