ぷるんごのひみつ 1

 むかし、ぷるんごの木のたくさん植わっている小さな村がありました。ぷるんごは秋になるとあまずっぱい実をたくさんつけました。どこの家にもぷるんごの木がなん本もありましたし、いたるところにぷるんごの木の植わったぷるんご畑がありました。けれどまずしいソンの家には、たった一本のぷるんごの木しかありませんでした。ソンにはおとうさんがいませんでした。おかあさんは朝から晩まではたらきましたが、食べていくのがやっとで、小さな家のほかにあるものといったら子ヤギが一頭いるだけでした。その子ヤギは春にうまれたばかりで、おかあさんが
「おまえだって、もうそろそろかせぎしごとができるだろうよ。」
といって、つれてきたばかりでした。ソンがどんなによろこんだかしれません。子ヤギに草を食べさせて歩くのがソンのしごとになりました。子ヤギはクープという名前をもらい、どこへでもソンのあとをついてあるきました。ときにはたのまれて、ぷるんご畑の下草を食べさせにいくこともありました。ぷるんごの木の下草をクープがきれいに食べてしまうと、おれいにお菓子をくれることがありました。クープがすっかりおなかいっぱいになると、ソンはク―プを家につれてかえり、庭のぷるんごの木の下につないでひとやすみしました。そんな時、ソンはよく友だちのことをおもいました。ソンと同じくらいの子どもはみな学校に行っていました。
「クープの乳が出るようになれば、おまえを学校にやれるだろうよ。」
と、かあさんはいいました。ソンはクープがりっぱなヤギになって、子ヤギをうんで乳が出るようになったら学校に行かせてもらえると思うと、なおさらクープがかわいくてしかたがありませんでした。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ぷるんごの花がいっせいに咲く頃のことでした。この村にひとりのおじいさんがやってきました。そのおじいさんは、まっ白いかみとひげを長くのばして、ぼろぼろの服を着て、大きな袋をかついでいました。むらのひとびとはおじいさんをきみ悪がって、近づかないようにしていましたが、誰もが袋の中身を気にしていました。人々は袋の中身についていろいろうわさしました。かびたようなパンやぼろぼろの上着がはいっていると言う人もあれば、宝をとられないためにわざとあんなかっこうをして、袋のなかにその宝をかくしているという人もいました。 

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