「ここにいても誰も助けてはくれません。僕はいけるところまで行きます。
クワン兄さんは、ウエン兄さんのところまで、何とかもどってください。
もし僕が帰らなかったら、
父上に、僕が最後まであきらめなかったことを、伝えてくださいね。」
足にできたまめがつぶれ、くつをぬぎすてて
ヨーンはふらふらと歩きつづけました。
石を踏みつけいばらで引っかき、足が血だらけになるころには、
ヨーンはついに歩けなくなり、たおれてしまいました。
夜が来て朝が来ました。
ヨーンはもうぴくりともせず、生きてはいないかのようでした。
また夜が来て朝が来たとき、そこへ一人の娘がやってきました。
娘の名はイリアラーサといいました。
イリアラーサは、小さい時に魔法使いにさらわれて
やぎの乳しぼりや、魔法使いの家の仕事をさせられていました。
イリアラーサをヨーンのところにつれてきたのは
魔法のやぎのミミルークレヤでした。
イリアラーサはこれまでにも、幾度も山の動物たちを助けました。
魔法使いのヨーグルトを作るのはイリアラーサの仕事でしたが、
けがをしたり病気になった動物をたすける時に、
イリアラーサはそのヨーグルトをほんの少し、魔法使いにわからないように使ったのでした。
イリアラーサは、若者を助けたいと思いましたが、
ほんの少しのヨーグルトでは間に合いそうもありません。
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